糖尿病と認知症
糖尿病は、血液中を流れるブドウ糖(血糖)の量が増えすぎている病気で、動脈硬化の進行を早め、脳梗塞や心筋梗塞になるリスクを高めます。また、近年では認知症になるリスクを高めることも明らかにされています。
認知症の中で最も多いのはアルツハイマー型認知症で、次いで血管性認知症とされています。血管性認知症は脳血管の障害によって生じる認知症で、動脈硬化が原因になり、糖尿病が血管性認知症になるリスクを高める(約2.5倍)ことは何となく想像できると思います。しかし、アルツハイマー型認知症においても、糖尿病がリスクを高める(約1.5~2倍)ことが明らかにされています。
血糖値を下げるホルモンはインスリンですが、インスリン分解酵素はインスリンだけでなく、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβ蛋白を分解する作用もあります。高血糖状態が続くとインスリンの分泌が促進され、インスリン分解酵素はインスリンを分解するだけで精一杯になりアミロイドβ蛋白を分解できません。また、高血糖状態が続くことによってインスリン分解酵素自体の働きも弱くなってしまいます。結果、アミロイドβ蛋白は分解されずに蓄積され、アルツハイマー型認知症になりやすくなってしまいます。
認知症になってしまうと、食事をしたことや薬を内服したことも忘れてしまい、糖尿病も悪化しがちです。認知症予防のためにも、糖尿病治療は早いうちから受けることをお勧めします。