アルツハイマー型認知症について
現在、日本は超高齢社会に突入し、認知症患者が増えていることは社会問題の一つでもあります。多くの方がご存じの通り、認知症の中で最も多いのはアルツハイマー型認知症で、アミロイドβ蛋白が脳内に蓄積し徐々に脳が萎縮していきます。記憶をつかさどる側頭葉内側にある海馬から萎縮するため記憶障害が出現しやすく、一方で人格や性格をつかさどる前頭葉は後期まで保たれるとされています。記憶の中では、昔の記憶は比較的保たれますが、数分から数日などの近い記憶(近時記憶)の障害が強く、いわゆる「もの忘れ」が初期から出現します。同じことや同じ話を何度も繰り返し、ご飯を食べたことを忘れてまた食べようとしたりします。自分が病気であるという自覚(病識)はないことが多く、聞かれた質問にうまく答えられないときは、はぐらかして辻褄をあわせようとします(取り繕い)。
まだ根本的な治療薬がない病気ですが、進行を遅らせる薬は数種類あります。また、自宅にこもりがちになるケースも多く、デイサービスなどを利用し日々刺激を与えることも大切です。気になる症状があれば受診することをお勧めします。